Recruit Information採用情報
トップランナーを目指す挑戦と、
若き日に一国一城になるチャンスを
与えてくれたキャストの土壌
工藤 拓人(64期)
Takuto Kudo
弁護士法人キャストグローバル パートナー
CastGlobal Law Vietnam Co.,Ltd. 代表
現在の仕事について
ベトナムでの主な業務は?
主に在ベトナム日系企業やベトナムに進出する日本企業を対象に、一般企業法務、労務、M&A支援等のリーガルサポートを行っています。お客様の規模は、スタートアップ、中堅中小、一部上場までとさまざま。業種は製造業・商社が約4割、IT関連と不動産が各1割程度、それ以外は飲食・サービス、教育、人材紹介業などでしょうか。日本の大手法律事務所のベトナム支店もあり、ベトナムでのM&Aを中心とした日本企業の進出サポートを多く受任していますが、私の仕事は現地法人の顧問業務のほうが中心。また、顧問先以外のスポット的な法的サポートもフットワークよく行っています。
2015年に、ホーチミン支店(現 CastGlobal Law Vietnam Co.,Ltd.)拠点長として赴任した時から、財務基盤を堅牢なものにしようと、「顧問先を増やすこと」を運営ポリシーに掲げてきました。現在、顧問先は約80社となりましたので、いいペースで増え続けていると思います。
弁護士としてだけではなく、CastGlobal Law Vietnam Co.,Ltd.における“社長業”も、私の重要なミッションの一つです。当社は、私のほかに日本人弁護士1名、ベトナム人弁護士3名、ベトナム人のパラリーガル2名、コンサルタント1名という陣容で、採用や給与交渉をはじめとして、経営・管理業務全般を行っています。赴任当時の私は29歳。弁護士業務はともかく、“社長業”は初めての経験だったので、とまどいはありながらも、帳簿の見方ひとつから会計事務所の方々に教えていただきつつ、実務の中で一つひとつ実践しながら学んでいきました。
やりがいは何ですか?
担当する業務は “前向きな案件”がほとんどです。紛争解決は全体の5%程度で、投資や日常の企業運営にまつわる案件が圧倒的に多くなっています。ベトナムマーケット(株式市場)の成長気運が高まっているので、投資を行うお客様自身もどんどん成長しているケースが多いです。私は、上場企業の役員クラスや、投資家、中堅中小企業オーナーとじかにやりとりし、お客様と二人三脚で成功を目指します。そうしてお客様の成長を間近で見られることが、やはり大きなやりがいです。
例えば、宿泊業・観光事業等を行う日系企業が百数十億円を投資して行うベトナム・ダナンのプロジェクトに関与していますが、現地企業との契約交渉はもちろん、どんなホテルをつくるか、どんなテナントを入れたらよいかといったことまでもオーナー社長と意見をやりとりすることが少なくありません。ダナン政府への根回しや今後の投資戦略まで、弁護士である私が主体的に関わって一緒に推進できるのも、ベトナムならではの経験といえるでしょう。
ただし、当然ながら日本とは法律も慣習もすべてが異なります。もともと業務として扱っていた渉外案件をベースとしつつも、ベトナムでの弁護士業務については、ほぼ独力で身に付けていった感じです。そして現在も、ベトナムでは、企業法、労務法、不動産及び税関関連法におけるDecree(政令)・Circular(通達)の改正が相次いでいます。成長過程にある国ならではですが、手探りながらも多様な案件を積極的かつ地道にこなし、お客様と共にベトナム経済および日本経済発展のサポートに貢献できる――それが今の仕事の醍醐味ですね。
ベトナムに赴任した経緯と理由
ベトナムで弁護士業務を始めたきっかけは?
修習を終えた2011年に、弁護士法人キャストに参画しました。最初は大阪支店に配属され、2013年からは中国上海代表処へ。そして、その年にベトナム支店が立ち上がり、先輩弁護士が担当していた現地へ“応援要員”として私が送り込まれることになりました。しかし、その翌年の2014年、先輩弁護士が退職したことにより、「ベトナム支店を閉めるか、私が続けるか」という選択を迫られることになります。
実は、私は“中国の専門家”になるつもりでキャストを選び、中国語も必死に勉強していました。ただ、中国関連の専門家はすでに多数いらっしゃるなか、当時のベトナムは日本人弁護士にとってはまだブルーオーシャンではないかと思いました。ベトナム経済の成長は見えていたし、今、このチャンスをつかんで“ベトナム一本”で取り組めば、トップランナーになれる可能性があると覚悟を決めたのです。ただ、本気でやって、ダメだったらいさぎよく辞めればいい……とも思っていましたが(笑)。
赤字だった支店を黒字にできた背景は?
2014年当時、ベトナム支店における案件はほぼゼロで、私自身、弁護士4年目を迎えるアソシエイト。しかし、第3次投資ブームに沸くベトナムには、日系企業の進出が相次いでおり、キャストと付き合いのある会計事務所や銀行から小さな案件をいくつか紹介してもらいました。まずはそれらの業務をできる限りスピーディーに、質も高くこなすことを決めたのです。それから一つひとつの案件に集中し、成果を出すうちに、信頼してくださる方も増えてきたのか、気づいた時には大型案件や大きな金融機関からの紹介も増えていきました。
また、セミナーを活用した新規顧客開拓も。まず毎月、自ら企画した小さなセミナーを開催。そこに無償で顧客候補の方々をお招きし、質問を受けた方のもとを訪問、その質問に無償で回答します。その後、それらの問題点を汎用化してまとめ、例えば労務や税関に関するセミナーを開催するという循環をつくりました。そうした活動からも顧問契約先やスポット的な案件が増えていきました。
そして2015年後半には、私自身の給料が本社・キャストからではなくベトナム支店から出せるようになりました。2014年当時売り上げもほぼなかったので当然赤字でしたが、2016年には黒字化、そこからベトナム自体の成長率を超えて安定的に成長しています。短期間で黒字化できたのは、「どんな小さな案件にも全力で取り組み、信頼と実績を積み上げること。自分なりに案件を獲得するための方策を講じること」を継続してきた結果と考えています。もちろん、端的に言えばベトナム事業とその支援が何より面白かった。大変ではありましたが、普通に仕事を楽しみ、普通に本気を出し、普通にきちんと働いていたら、自然と売り上げがついてきたというのが本当のところです。それに伴って、現地での友人や仲の良いお客様の幅も広がったことが自分の経験に大きくつながっていると思います。
ここまでお話ししてきたとおり、ベトナムで働くことになったのは、弁護士として差別化できる絶好の機会を得たからです。「トップランナーになる」という決意と挑戦を与えてくれた偶然、これは本当に幸運だったと思います。ベトナムでの経験は確実に、私の弁護士としてのキャリアを方向付け、弁護士としての力を磨いてくれています。そして、ゼロからお客様との縁をつないでいく胆力を身に付けられたことも大きい。ベトナムには感謝しかありません。
キャストだからできること
そもそもなぜキャストに参画したのですか?
私は学生時代、渉外に強いいくつかの法律事務所でインターンを経験しています。その経験を通じ、海外業務に携わることで広い視野を持つ弁護士でありたい、人に仕えるのではなく、いつか“一国一城の主”になりたい、お客様や法律事務所のパートナーを含めて経営的立場にある人たちと協働したいという思いが生じました。それらの希望を短期間で叶えられそうだと思える場所が、キャストでした。
実際、前任者の退職によりたまたま訪れた機会とはいえ、ベトナム支店を任されることになり、それによって私の希望は予想以上に早い段階で叶えられました。ただし、これは“赤字だった支店を黒字化する”という結果が出せた今だからこそ言えることで、任せてもらった当時は少なからず戸惑いがあったのも事実です。
キャストでは、“自発的な取り組み”と“有言実行”が評価されます。私が「ベトナムで顧問契約を主体とした法律事務所運営をする」と宣言した時も、当初は所内で評価されていませんでした。しかし実際に、その戦略によって黒字化したことで、今では自らの思うように、そして自由にCastGlobal Law Vietnam Co.,Ltd.を運営することができています。
キャストで働くメリットは?
一つには、代表の村尾龍雄という個性ある弁護士と近い距離で働き、さまざまな刺激を受けられることでしょうか。常に新しいことを考え、プロフェッショナルであり、クセもある(笑)。驚くことも多いかもしれませんが、「こういうタイプの弁護士もいるのだ」ということを身近で感じながら、自らのキャリアの幅を広げ、考えていく機会が持てると思います。
また、キャストグローバルグループには、日本、中国、ベトナム、ミャンマーに拠点があり、各拠点に村尾同様、個性的な弁護士が多数活躍しています。当該国の法律事情に誰よりも精通した弁護士、特許庁や検察庁の勤務経験がある弁護士等、手前みそになりますが、多士済々です。
私は今、日本・中国・ASEANの知的財産関連業務、模倣品対策などを強みとする島田敏史弁護士(東京/上海拠点に所属)の力を借り、ベトナムでの模倣品対策、商標侵害等に取り組み始めたところです。そうした多様な能力・経験を持つメンバーと国を超えて連携し、自ら仕事をつくっていけることも、ここで働く大きな醍醐味。入所を検討する方は、ぜひキャストグローバルグループのメンバーの多様性に注目してほしいと思います。自分の専門性を常に考えそれを実行したいという方、いろいろな専門家と協力し柔軟なチームとして強みをつくっていきたい方には非常に面白い経験が積める事務所だと感じています。